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「江戸文化体験塾」 特集NO.10 |
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場所 東京千代田区麹町区民館 |
日時 平成15年9月17日 |
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千代田区江戸開府400年記念事業「江戸文化体験塾」の一環として、「江戸っ子の手習い・清元節」が催されました。延寿太夫をはじめ、清寿太夫、榮志太夫、志寿子太夫、秀二郎、美治郎、菊輔ら講師も豪華に行われた教室の様子をご紹介します。
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延寿太夫による清元の解説。
演奏は左から延清恵、延明寿、
延秀佳、延古摩寿 |
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前半の講師を務める、延秀佳、延古摩寿、延明寿、延清恵による“神田祭”の演奏から教室が始まりました。
清元の代表的な一節を聞いていただいた後、清元延寿太夫による、清元の特徴や歴史の解説がありました。
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清元節誕生前の富本節の話から、清元の誕生と歴史、歴代の家元、河竹黙阿弥と清元のこと、名人といわれた五世延寿太夫、六世の延寿太夫の話など、すこし硬い話も、家元の語り口調が楽しく、場内はリラックスした雰囲気に。
歴史に続いて“神田祭”の一節から清元の特徴を解説。“カエシ”など清元の節についても、演奏の合間に説明をくわえ、“カブル”“フル”“トメル”など、節の説明が続きました。
つづいて“神田祭”の唄を全員でお稽古しました。教室をグループにわけて、1グループずつ、唄う範囲を変えて練習しました。
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木遣りについて説明する清寿太夫。 |
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清元延寿太夫。 |
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三千歳について説明する秀二郎。 |
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ここで講師が、清寿太夫、榮志太夫、志寿子太夫、秀二郎、菊輔の男性演奏家に変わりました。今度は申酉(お祭り)の演奏と木遣りにスポットをあてて清元らしさについて説明です。
「木遣りは江戸時代、火消しの頭が、仕事帰りに歌って引きあげたという感じで声をかけてください。」と心得を披露。教室の左右で木遣りを掛け合ってのお稽古に、清寿太夫からは「木遣りはにぎやか。自分でやっててぞくぞくっときます。」とたのしいお話も飛び出しました。
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左から志寿子太夫、榮志太夫、清寿太夫、秀二郎、美治郎、菊輔 |
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休憩をはさんで、お稽古の曲も三千歳に変わりました。
延寿太夫からは「右も左も真っ白な雪景色、上野の鐘の音も凍る様を浄瑠璃の語りで表現しなくてはならなりません」と浄瑠璃の心得を披露。
「思いがけなく丈賀に会い〜そっと門からあたってみようか」のセリフをお稽古。三千歳ならでは、芝居の雰囲気たっぷりのお稽古が始まりました。
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お稽古の合い間に、清寿太夫からは「三千歳のなかでも“一日逢わねば千日の〜”は大変な二人の濡場ですね。色気をもってうたわなくてはなりません。それにあまり声を張ってしまうと“わずろうて”に意味がなくなってしまいます。“針や薬のしるしさへ泣の涙に紙ぬらし”このような色気のある言葉を唄で表現するのはとても難しく、のどの調子が良くないとせつせつは語れません。せつせつと語ることがとても大切です。」とこの場の心得を披露。
お三味線の秀二郎さんからは「入谷の田んぼを直侍がほうかむりをしてゆっくりあるいてくる。三千歳は私の具合が悪いのは直次郎を待っていたからとくどきます。ここは唄と三味線とが一体にならないと情景描写ができません。ここでは、“しっとりと出会う”という情景描写を表現するのが一番大切だと思います。」
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続いて「僅か別れて居てさえも」のセリフと「一日逢わねば千日の」の一節をを全員でお稽古しました。
さらに、参加者が一人一人、「僅か別れて居てさえも」のセリフを語りました。直次郎をくどく、とてもいいセリフを語ることで、お芝居の雰囲気がお楽しみいただけたのではないでしょうか。
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質問に丁寧に答える
清寿太夫と秀二郎。 |
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最後に皆さんから質問がありました。
「唄う人とお三味線を弾く人は決まっているのですか?」という質問に、秀二郎さんから「歌舞伎などの舞台ではそれぞれ分業です。ただし、お稽古のときなどは、唄もお三味線もやりますよ。両方をマスターしていないとイキのやりとりが出来ず、物語性というのが出てきません。」さらに、「文楽には相三味線というかたがいます。太夫と三味線とは夫婦以上に心がいきかわないとうまくいきません。そういう所が浄瑠璃系の音楽の特徴でしょうか。清元の場合、太夫の息相によって三味線がそのリズムに乗っていく、音符の通りで良いという音楽ではありませんね。」
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「清元と常磐津の違いを聞き分ける方法は」という質問には、秀二郎さんから「同じ豊後節の系列でも、時代によって重みのあるものが好まれたり、(嗜好に)変化がありました。清元は道行物が多く、色気が出る高い音域が必要なので、華やかな音域が多く、そういうものが清元だと思ってください。」さらに、「清元は豊後節のなかでも、ごく近世にできたもので、音楽的に“良いとこ取り”のところがあります。清元以前はもっと単純だった音階も、そこに色気を持たせるために、近代的に言うと難しい音階になった、というところですね。」
「清元のお稽古は誰でもできますか・・・いきなりならっても大丈夫?」という質問にも「だれでも、お稽古できますよ。やればやるだけおもしろくなります。」
他にも「美しい声を保つ方法は?」など質問は沢山続きました。
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教室の最後に、延寿太夫から「伝統芸能を1人でも多くの方にご理解いただきまた興味を持っていただきたいと思います。今後とも清元に触れていただく時間を1時間でも1分でも多く持っていただきたいとおもいます。」とご挨拶があり、2時間にわたる教室が終わりました。
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【監修】 清元協会理事 清元栄志太夫 |
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