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「書籍あれこれ(1) 特集NO.7

清元に限らず、浄瑠璃に関する本は結構少ないものですね。今回の特集では、清元に関する代表的な書籍を3冊ご紹介します。どれも、既に発売中止のものばかりですが、ぜひ読んでいただきたいものばかり。このページを参照しながら、古書店をめぐるのも楽しいかもしれませんね。

清元研究
春陽堂
(昭和5年5月発行)
忍頂寺 務【著】
目次
<清元注釈篇>
一、種まき 二、北州 三、安保 四、おはん 五、鳥羽絵 六、玉兎 七、子守 
八、山帰り 九、吉原雀 十、傀儡師 十一、おそめ 十二、梅の春 
十三、卯の花 十四、喜撰 十五、文屋 十六、三社祭 十七、玉屋 
十八、神田祭 十九、双六 二十、夕ぎり
<清元注釈篇>
一、延寿清話 二、延寿年表 三、延寿墓巡り 四、梅の春考 五、北州考 
六、雲助の作曲年代考 七、小糸の作曲年代考 八、蘭洲の代々 
九、土人形の色娘 十、三浦屋四郎左衛門 十一、玉菊二百年忌 
十二、薄雲年代記 十三、小紫年代記 十四、三浦屋揚巻と助六狂言 
十五、丁子屋雛鶴年代記 十六、扇屋墨河と花扇 
十七、加保茶と「柳巷名物誌」 十八、八朔の無垢 十九、青樓三つ蒲團 
二十、市川家の三升の紋所
清元の研究書のなかで、記述内容について信頼性が最も高いとされている一冊で、多くの演奏家が参考にしている貴重本です。緻密な研究に基づいた内容は、以降の清元関連書の多くに何らかの形で影響を与えているといっても言い過ぎではありません。
延寿芸談
三杏書院
(昭和18年9月発行)
目次
序・鏑木清方 おいたち 青年時代 茶箱の紙幣 残菊実説 富貴楼お倉 
養子売込 負債の整理 秘曲非難 虎の巻 はつぶたい 菊寿と家内太夫 
名披露目 お葉の死 日光祭と仁輪賀 修行時代 昔かたり 名人岡太夫 
余興追放 すみだ川 あけからす 川口なおさん 発声と歯 作曲ばなし 
声の練習 レコードとラヂオ 高輪と伊東 舞台に倒る 献納機延寿号 あとがき
伝統邦楽の中において、近世の名人と呼ばれる五世延寿太夫の伝記とその芸談をまとめた一篇。いまもレコードで偲ばれる「隅田川」の演奏にまつわる秘話など数々の逸話が収録されています。人気実力を兼ね備え、清元を芸術の域に高めたといわれる五世家元を知るには最適な一冊といえます。
歌舞伎に携わる演奏家名鑑
(社)日本俳優協会
(平成5年9月発行)
目次
歌舞伎の底力 歌舞伎は彩りの美学 ご挨拶に代えて はじめに 凡例
総論・歌舞伎の音楽
歌舞伎囃子
解説・歌舞伎囃子 解説・長唄 解説・歌舞伎囃子方(長唄)の現状と問題点 
解説・歌舞伎囃子方(鳴物)の現状と問題点 名鑑・長唄
竹本
解説・義太夫節と歌舞伎の竹本 解説・歌舞伎竹本の現状と問題点 名鑑・竹本
清元
解説・清元節 名鑑・清元
常磐津
解説・常磐津節 名鑑・常磐津
新内
解説・新内節 名鑑・新内
河東
解説・河東節 名鑑・河東
三曲
解説・三曲 名鑑・三曲
解参考資料一覧 あとがき 伝統歌舞伎保存会会員(邦楽関係)一覧 
住所録 芸名索引
いまでもこれに代わるような歌舞伎演奏家名鑑は無いほど、充実した一冊。写真入りで紹介されている清元演奏家詳細も信頼性が高く、清元のみならず邦楽界のデータベースとしても貴重な一冊といえます。
【監修】 清元協会理事 清元栄志太夫